『リスクとは不確実性であり、【悪】ではない。冷静に許容レベルを知る。』
投資、特に海外投資というワードを聞くと真っ先に返って来る言葉が「リスクが高そうで怖い。」だ。
はたして本当にそうなのだろうか?
そもそも、リスクとはいったい何なのだろう?
リスクとは、将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性をいう。
ただ、ファイナンスの分野においては「悪い事象が起こる可能性」だけでなく「良い事象が起こる可能性」もリスクに含まれると提唱されている。
Wikipediaより引用
多くの人はリスク=危ないものだ、あってはいけないものだ、と考えがちだけど、こと、投資・金融においてはその限りではないのだ。
なぜなら、例えば、車の運転。
運転免許のない状態での車を運転する事のリスクは?と想像した時に。
まず真っ先に思いつくのは運転ルールの未熟さからくる重大な事故、だろう。
また、運転免許は持っているものの、普段運転しない人がたまに運転するリスクは?と想像したら、これもすぐにわかる通り事故に繋がりやすい。
運転免許を持っていて、普段から運転している人のリスクは?ここまでくると次は飲酒していないか?年齢的に高すぎないか?急いでないか?眠くないか?・・・となってくる。
つまり、車の運転におけるリスクの話をすると、出てくる答えは一般的に悪い事とされること。間違っても無免許の人が運転して絶対に事故起こさないどころか、免許の制度を廃止させたいんです、協力してください、なんて言われても信用できないよね。
だから、一般的にリスク、と聞くと瞬間的に悪い事を連想してしまいがち。
でも、じゃあなぜ投資や金融の世界の用語では良い事象が起こる可能性のこともリスクと呼んでいるのか?良い事象が起こる可能性とはいったい何なのだろうか?
投資・金融の世界で言う所のリスクについて例を挙げると
・為替変動リスク
・株価変動リスク
・金利変動リスク
・信用リスク
・カントリーリスク
・流動性リスク
などなどがある。(もっとあるのだけど代表的に)
正直こんなにリスクリスクと並ぶと全く投資したいなんて思わなくなるよね(笑)
標準的なリスクの考え方は悪い事、という設定でいるとまず投資をやろうなんて思わないかもしれない。
でも、例で挙げた為替変動リスクについて。
これは、円とドルという通貨の差は毎秒常に動いている。
という事は、海外投資をした時に、投資をした時に1ドル=100円で100万円投資したら、実際は1万ドルで投資をした、という事になる。
これが年利10%で増えて1万1千ドルになって日本円に替える時に。
1ドル=80円であれば、日本円での受け取りは88万円になる。
増えて利益が出ているはずなのに為替の影響で損をする、という事になる。
ここだけ見ると、海外投資は為替変動リスクがあるから危ない。=リスクあるのはやっぱりだめじゃん!と思ってしまう。
ただ、同じ運用結果で1万1千ドルを1ドル=120円の時に日本円にして受け取った場合、受け取る日本円は132万円になる。
同じ運用成績なのに為替によって今度は運用益以上に得をしたことになる。
つまり変動することによってもたらされた不確実な要素のリスク。(自分にとって)良い事象となるリスクがそこにはあった、と言える。
ここをリターンだ、と捉えてしまいがちだけど、リターンは例題で言う所の『年利10%の運用益』だ。132万円で言う所の22万円分は為替が変動したことによって発生したリスク(自分にとって良い事象の結果)なのだ。
海外投資には為替変動のリスクがあって損をするから怖い、やらない、とリスクという言葉だけで判断していると、この22万円は発生していなかったわけで。とはいえ、損失幅も発生していなかっただろう。つまり、リスクが発生すればするほど損失の可能性も増えるけど、収益が向上する可能性も増える、という事。
だから、リスク、という事に惑わされてはいけない。
あくまでリスクは不確実性。将来の可能性で、【悪】ではない。
自動車の例でも、実は似たことが言える。免許取得可能な年齢より前に運転を始めていればもしかしたら人より運転技術が向上する時間が増えて、レーサーになる可能性もあるかもしれないが、その分事故の可能性もある。
なので、リスクに対して次に必要になってくる考え方・向き合い方は、
『そのリスクを自分は吸収できるか?』
『自分にとって悪いと思える事象が発生した時に対処できるか?』
になってくる。
例えば100万円を銀行預金していたとして。
年利10%あるような海外投資信託の話があった時に、為替変動リスクにカントリーリスクもあるから、もしかすると、10%マイナスもあり得るけど、設定の10%以上増える事もあると説明されたら、どうだろうか?
そんなの博打みたいでリスク高いからやらない!と判断したとしたら、少し待って欲しい。銀行預金で100万円置いておくだけで、100万円という数字は減らないが世の中の物価は上昇する。年利2%上昇が政府目標なら2%物の値段が値上がる事は最低限予想される。要するに銀行預金の100万円は来年は98万円の価値に下がる可能性(リスク)がすでにある。
また、今のように急な経済危機により政府の大幅な紙幣発行が行われたら、世の中にお金が溢れお金の価値が急速に下がり100万円がもしかしたら半額の50万円になることだって十分ありうる。
もしそうなっていたら、逆に海外投資信託を外貨でやっていたら為替益が大幅に追加されることだろう。
それに銀行に預けるという行為も投資行為なので、そもそも銀行が倒産する、なんてことも無くはない。
要するに、すでにリスクは存在していてどのリスクなら自分は吸収できるか、悪いと思われる事象が起きた時に対処できるか?になる。
例題で言うなら、例えば100万円を銀行預金しておくことで目減りしていくリスクと急な物価上昇により紙幣の価値が無くなるリスクを将来的に吸収し続ける事ができるのか。
極端に言うと100万円が無くなる可能性もあるのでなくなってもいいか?という判断になる。
今、100万円が手元から無くなる事を想像して欲しい。
自分の年齢が若ければ、自分に資格があれば、自分に技術があれば、どうだろう。きっと100万円をもう一度作ることは大変かもしれないが、できると思う。
これが、自分がも定年過ぎて、職も資格も技術もない、となるとかなりハードル高くその人としてはリスクを吸収しづらいし対処もできにくいだろう。
少し話が逸れたが、対して海外投資信託をする場合、変動として減額することもあるが、増える事もある。ただ、紙幣を有価証券に変えていることで日本円の価値が無くなることに対するリスクは回避されている。
そうなると、今度は減額した場合の金額が自分にとって吸収できるのか?対処できるのか?を考える。
つまり、人によってリスクとは一律じゃない、という事。
リスクがある、と言われた時や聞いた時は一度立ち止まって自分に問いかけてほしい。『それは本当に自分にとって悪い事なのか?』『それをすることで得られる良い事はなんなのか?』『悪い事が起きた場合、自分はそれを対処できるのか・できないのか?』
長くなってきたので、次は最大で共通のリスクはなんなのか?僕の体験談も踏まえて紹介します。
【それが無くなった時、あなたはなにをしますか?】
この記事へのコメントはありません。